米債務上限問題とは

まだ株ちゃんコラム

はじめに

市場には常に
相場に大きな影響を与えるテーマがあるブホ
それらの重要性を理解し
今後の見通しを予測して行くことで
大局の流れに乗ることができる
今回取り上げるテーマ「米債務上限問題」は
金融市場に大きな影響を与えかねない問題ブホ

ここで大前提として、問題とはなにか
これについて正しい理解を持っておくことが
大切パオ

問題とは、本来あるべき姿とのギャップ(乖離)を定義できる
そして問題解決にあたっては
問題の見える化を行った上で解決策を考え
PDCAサイクルを回す
これが問題解決の常套句ブホ

ではここから本題となる米債務上限問題について
一緒に考え、解決手順や市場に与える影響について
順追って一緒に確認していくブホ

米債務上限問題とは何なのか?

米債務上限(debt ceiling)
アメリカ合衆国政府が借金をする際に設けられる
法的な制約パオ
アメリカ合衆国・国会が政府の借金をできる上限を定めることで
政府が債務を増やすことに対する制約を設けているブホ

上限を超える借金が発生すると
政府は新たな借金を発行することができなくなる
債務上限引き上げの合意がない場合には
デフォルトとなり、市場に深刻な影響を与えることから
投資家はとてもナーバスに
このテーマに関するニュースを見ているブホ

デフォルトとは

債務不履行の事をデフォルトというブホ
債務の上限引き上げができない場合
政府が債務の返済を滞らせることになり
国債への信用が低下する可能性が高くなる

債務不履行が発生すると
国内外の経済に混乱を引き起こす可能性があるため
米債務上限問題は、国内外の経済に
重大な影響を及ぼす可能性出てくるブホ

ちなみに2023年の米債務上限問題は
103回目となり、デフォルトは一度もないから
アメリカがデフォルトになることはないと考えていいブホ

米債務上限問題が与える市場への影響は?

もし米債務上限問題が解決しない場合
政府は債務の支払いに制約を受けることになるブホ
具体的な影響としては、政府が予算を遵守するために
一時的な歳出削減や
政府機関の閉鎖(シャットダウン)が発生する可能性がある

これまでも何度も債務上限問題に直面してきたアメリカだけど
当然ながら世界の基軸通貨ドルの発行国であるアメリカは
その都度、問題を解決してきた

では何故、米債務上限問題のトピックスに
投資家が反応し市場に影響を与えるのか
ここでは具体例として
2011年オバマ政権で発生した事例を見てみることにするブホ
2011年5月、債務残高が上限に到達したことで
米財務省は8月2日まで「異例の措置」を採用
オバマケア(公的医療保険)の見直しや
歳出の削減を求める共和党議会と
オバマ大統領との交渉が難航したものの
7月31日に米議会が債務上限引き上げを承認したことで
米国のデフォルトは回避された

ところが時を間もなく8月5日
格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が
「財政赤字削減計画が米国の債務の安定化には不十分」との見方から
米国の長期発行体格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げたことで
米国債格下げショックが市場を襲ったパオ

これにより投資家は
混乱の渦に巻き込まれることになり
以下の様な大幅下落となったパオ

 

・ダウ平均株価 634.76ドル安の10809.85ドルへ下落
・日経平均株価 9500円台から9000円割れへ下落
・ドル円相場 79円台から76円台へ下落

 

下の画像は8月5日~8月6日のドル円の日足チャート
太陽線から翌日から黒三兵が出て
76円台まで下落しているのが分かるブホ

米債務上限問題はどのように発生するのか

米債務上限問題は、政府が債務上限に達した状態で
追加の債務を発行する必要が生じた場合に起こるパオ
政府は歳出を行うために借金をする必要があるけど
借金の上限が定められているため
債務上限を超えて借金をすることはできない
そのため、債務上限に達すると
政府は財政的な制約を受けることになる訳ブホ

債務上限問題はどのようにして解決に至るのか

債務上限問題の解決手順は
原則、アメリカ議会と行政の協力と合意に基づくパオ
ただし、実際の解決手順は状況や政治的な要因によって異なる場合があるブホ
では債務上限到達(問題の発生)~債務上限の引き上げ(問題解決)までを
順に確認しておくブホ

 

1.債務上限到達

政府が債務上限に達すると
財務省は特定の財政手段(通常は短期国債の発行や財政措置の活用)を使用して
一時的な資金調達を行います
これによって、政府は一時的に債務の支払いを
続けることができるパオ

 

2.債務上限引き上げの法案提出

上院と下院の議員は
債務上限引き上げに関する法案を提出する
この法案には、新たな債務上限の設定や
財政政策の変更などが含まれるブホ
ここで所謂、政治プロレスが起こることになるパオね

 

3.議会での審議と承認

提出された債務上限引き上げ法案は
上院と下院で審議される
議員たちは法案に対して修正や追加を行う場合があるパオ
最終的に、上院と下院が修正を承認し
債務上限引き上げ法案が可決されることになるパオ

 

ちなみに上院と下院は
法案の提案、修正、可決の権限を持っている
アメリカも二院制だから
法案はどちらかの院で可決された後
もう一方の院でも可決される必要があるブホ
これが解決まで時間を要する1つの原因

ついでに予算制定についてだけど
下院は、歳出法案の起草と可決を
主導する役割を果たしている
今回の2023年債務上限問題も
予算案は下院が先に提案し
可決された後、上院に送られたのは
皆が知っている通りブホ
下院の後に上院が予算案を審議し
修正や変更を行うことができて
最終的に、上院と下院の両院の合意形成になる流れブホ

 

4.大統領の署名

議会が債務上限引き上げ法案を可決すると
大統領が署名して法律となる
大統領の署名によって
債務上限が引き上げられるブホ

 

5.債務上限の引き上げ

債務上限引き上げ法案が成立すると
政府は新たな債務上限までの間
追加の債務を発行することができる
これによって政府は債務の支払いを継続し
財政的な制約から解放されるパオ

債務上限問題の解決においてのホワイトハウスが担う重要な役割

1.債務上限問題の認識と対応策の検討

ホワイトハウスの経済チームや財務省と連携し
債務上限問題の重要性を認識し
その対応策を検討
財務省は通常
債務上限到達後の一時的な措置や資金調達策を
実施するパオ

 

2.法案の提案と支持者の獲得

ホワイトハウスは、債務上限引き上げのための法案を
議会に提案する
また、ホワイトハウスは議員や政治的な支持者と協力し
債務上限引き上げの必要性を訴え
法案の支持を獲得する
ブルームバーグやロイターなどの金融メディアで
大統領と下院の議長が債務上限問題と話したが進展はなかった」と
書かれたりすることがあるけど
これはデフォルトを起こさないために
大統領直々に議長と協議していることを示しているブホ

 

3.議会との協力と調整

ホワイトハウスは上院と下院の議員との間で連絡や協議を行い
債務上限引き上げ法案の審議と修正に関与する
ホワイトハウスは議会との間で合意を形成し
債務上限引き上げに向けた支援を行うブホ

 

4.大統領のリーダーシップと署名

ホワイトハウスは大統領のリーダーシップのもとで
債務上限引き上げ法案の成立を促進する
法案が議会を通過した後
大統領が署名して法律とすることで債務上限を引き上げるパオ

 

ホワイトハウスは議会との協力を通じて
債務上限問題の解決に向けた
政治的な努力を行う訳ブホ
さまざまな交渉やコミュニケーションの活動を通じて
債務上限引き上げのための合意を形成し
政府の財政的な安定を確保する役割を果たす訳だから
ホワイトハウスは重要な役割を持つと共に
まさに債務上限問題の当事者と言えるパオ

IMF(国際通貨基金)の干渉はあるのか

IMFと聞くと、アジア通貨危機が頭によぎった人もいると思うパオ
もしかすると大人気映画の
ミッションインポッシブルが浮かんでいる人もいるカナ?
新型コロナや中国ロヒンギャ問題などでも
コメントを出すこともあるIMF
IMFは、国際的な金融安定と経済成長の促進を目的として設立された国際機関で
加盟国に対して経済政策や財政政策の監視
金融支援、政策助言を提供する役割を果たしているブホ
せっかくの機会だからIMFがしていることについても学んでおこう!

 

1.監視と評価

IMFは、加盟国の経済状況や政策の監視を行っている
定期的に加盟国を訪問し
経済や財政の状況を評価し
必要な政策の改善点を提案するブホ
これにより、IMFは加盟国の経済政策に対する
一定の影響力を持つことがあるパオ

もちろん2023年の債務上限問題においても
定期的に加盟国の経済情勢を監視する
「4条協議」の報告書に盛り込んでおり
アメリカに対して債務上限問題の交渉が
自国だけでなく、世界経済の両方に危機があり
金融システム全体に影響を与える=システミックリスク
あることを強く警鐘を鳴らしたパオ

 

2.政策助言

IMFは、加盟国に対して政策助言を提供する
経済や財政の健全性を向上させるための
具体的な政策措置であったり
改革の推奨であったり

IMFの助言は
加盟国が財政の持続可能性を確保し
経済成長を促進するために活用されることがあるパオ
2023年の債務上限問題においては、今後は予算承認時に
自動的に上限を引き上げる仕組みを設けるべきと
提唱しているブホ

 

3.金融支援

IMFは、加盟国が経済危機や財政危機に直面した際に
金融支援を提供することがある
加盟国は、IMFとの協議の下で
財政調整や経済改革を実施し
支援を受けることができるパオ

ただし、IMFの金融支援は条件付きであり
加盟国は一定の政策改革や措置の実施を求められることになる
アジア通貨危機の際に韓国がIMFと協議をしたけど
完全にIMFの主導の元で合意をすることになった
詳しく知りたい人はアジア通貨危機の際に
IMFと韓国が議論した場面が描かれている映画
「国家が破産する日」を見るといいブホ

IMFの関与は、加盟国の同意のもとで行われるものであり
基本的には協力的な関係に基づいているパオ
この様にIMFは国際的な金融安定と
経済成長の促進を目指していて
加盟国が経済政策を改善するための支援を
提供する役割を果たしていることが分かったカナ?

合意したら安心していいの?

2023年、つまり今回の債務上限問題は
2011年の時よりも早期に合意に至っているけれど
合意=安心ではないから注意が必要ブホ

それは何故か・・・理由は
合意までの期間・内容により
信用格付け機関が信用格付けを引き下げる可能性が
あるからブホ

2011年の例をもう一度見て見よう
5月に債務残高が上限に到達
7月31日に米議会が債務上限引き上げを承認
デフォルト回避
8月5日、格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が
財政赤字削減計画が米国の債務の安定化には不十分との見方から
米国の長期発行体格付けを「AAA」から「AA+」に引き下げたことで
米国債格下げショック発生

実は合意前の5月24日、格付け会社フィッチ・レーティングスは
米国の長期外貨建て発行体デフォルト格付け「AAA」を
「レーティング・ウオッチ・ネガティブ」に置いたと発表しているパオ

また、期限が迫っているにもかかわらず
債務上限の引き上げや適用停止に向けた交渉が
政治の党派性の高まりで妨げられていることを反映していると
説明しているブホ

さらに格付け会社ムーディーズは
債務上限協議を行っている議員の公的な発言が
格付け見通しの評価変更につながる可能性があるという見方を示し
協議中に交渉担当者がデフォルトを想定していると
公的に示唆された場合は
格付け見通しを「安定的」から「ネガティブ」に変更する可能性を
示唆したと報道されていたブホ

格付け信用の低下における具体的リスク

1.債券利回りが上昇する

格付け信用が低下すると
企業や政府の債券の信用リスクが高まることで
投資家はリスクを評価し
より高いリターンを求める傾向があるブホ

その結果、債券の利回り(利息率)が上昇して
発行元は債券をより高い金利で発行しなければならなくなる
これは、企業や政府の借り入れコストの上昇を意味するブホ
借入は安い方がいいパオ

 

2.資金調達の制約

格付け信用が低下すると
企業や政府の資金調達が困難になるパオ
低い信用格付けは投資家の信頼を損ない
金融機関が融資を制限することになってしまう
そのため企業は
新たなプロジェクトや事業拡大のために
必要な資金を調達することが難しくなり
政府は予算や公共サービスの運営に
支障をきたす可能性が出てくるブホ

 

3.経済への影響

格付け信用の低下は
経済全体にも影響を及ぼすため超危険ブホ
低い信用格付けを持つ企業や政府は
市場参加者の信頼を失い
取引パートナーや顧客からの支持を失う可能性があり
ビジネス活動や投資の減少から
経済成長が停滞・減速する可能性が出てくるパオ

また、信用リスクの増大は金融市場全体に不安をもたらし
市場の安定性に悪影響を及ぼす
これらの要因から、格付け信用の低下は
金利、資金調達、経済活動に
重要な影響を及ぼすことが理解できたブホね

このことから
債務上限の引き上げの合意=安心ではないということが
理解できたブホね

まとめ

どうだったかな?
債務上限問題がどのように始まり
そして終わるのかしっかり理解できたかな?
私たちが金融商品の行く末を描く時に
テクニカル分析とファンダメンタル分析があって
ファンダメンタルが難しいのは
こういうことをしっかり理解して
要人発言や数字の意味を正しくとらえていかないといけないからブホね

でもテクニカル分析とファンダメンタル分析に共通しているもの
それは・・・
歴史は繰り返すということ

相場に絶対は存在しないが
同じことを繰り返す傾向があるんだな
だからサイクル理論なんてものも生まれた訳ブホ
債務上限問題はこれからも発生する問題だから
次回104回目の債務上限問題の時には
今日学んだことをしっかり相場に活かして
大きな損失を出さない様にして欲しいパオ

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